介護保険とリフォーム

介護保険とリフォーム コラム

今回は介護保険とリフォーム(住宅改修)について紹介します。

★こんなひとにおすすめ

・お金をかけずにリフォームしたい。

・ケアマネージャーさんから手摺などの設置を勧められた。

・もっと住みやすい家にしたい。

介護保険について

日本では少子高齢化、超高齢化社会に向けて高齢者の介護を社会全体で支えるため介護保険制度が適応されています。

運営主体:各市町村
加入者:第1号保険者(65歳以上)・第2号保険者(40~64歳までの医療保険に加入している方)
サービスが利用できる方
第1号保険者(65歳以上)

第1号保険者

1.寝たきりや認知症などで常に介護を必要とする状態(要介護状態)の方
2.常時の介護までは必要ないが、家事や身支度など日常生活に支援が必要な状態(要支援状態)の方

第2号保険者(40~64歳までの医療保険に加入している方)

第2号保険者

初老期認知症、脳血管疾患など廊下が原因とされる16種類の病気(*1)により要介護状態や要支援状態となった方

*1:老化が原因とされる16の病気
(1.筋萎縮性側索硬化症、2.後縦靭帯骨化症、3.骨折を伴う骨粗しょう症、4.シャイ・ドレーガー症候群、5.初老期における認知症、6.脊髄小脳変性症、7.脊柱管狭窄症、8.早老症、9.糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症、10.脳血管疾患、11.パーキンソン病、12.閉塞性動脈硬化症、13.慢性関節リウマチ、14.慢性閉そく性肺疾患、15.両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症、16・がん末期)
上記の中で、要支援・要介護認定を受けた方に住宅改修は支給されます。

【給付の条件】

・介護認定で要支援1・2、要介護1~5に認定された方が対象
費用限度額20万円
・改修内容が本人や介護する方の負担を減らす改修内容である
・自宅で生活をしている(入院中・施設の入所中ではない)
・改修する住宅が住民票に記載されている住所である
・本人以外が所有者の場合、所有者に同意があること

3段階リセット】について

一度介護保険の住宅改修で給付を受けていても、要支援・要介護認定が3段階重くなった場合、再び支給限度基準額 20 万円の範囲内で申請が可能となります。 
・初めて住宅改修費が支給された住宅改修の着工日の要介護状態区分を基準としてカウントする。
・3段階リセットは、一人の被保険者に対して1回まで適用される。
【転居リセット】について
転居した場合は、前住所地で住宅改修を利用していても、転居先で新たに20万円を支給限度基準額として住宅改修を利用できます。
要介護度の目安と区分別支給限度基準額について
要介護度 設定の目安 居宅サービス費 住宅改修費 福祉用具貸与・販売
要支援1 障害のために生活機能の一部に若干の低下が認められ、介護予防サービスを提供すれば改善が見込まれる。 50,320円 200,000円 100,000円/月
要支援2 障害のために生活機能の一部に低下が認められ、介護予防サービスを提供すれば改善が認められる。 105,310円 200,000円 100,000円/月
要介護1 身の回りの世話に見守りや手助けが必要。立ち上がりや歩行等で支えが必要。 167,350円 200,000円 100,000円/月
要介護2 身の回りの世話全般に見守りや世話が必要。立ち上がり・歩行等で支えが必要。排泄や食事で見守りや世話が必要。 197,050円 200,000円 100,000円/月
要介護3 身の回りの世話や立ち上がりが一人ではできない。排泄などで全般的な介助が必要。 270,480円 200,000円 100,000円/月
要介護4 日常生活を営む機能がかなり低下しており、全面的な介助が必要な場合が多い。問題行動や理解低下がある。 309,380円 200,000円 100,000円/月
要介護5 日常生活を営む機能が著しく低下しており、全面的な介助が必要。多くの問題行動や全般的な理解低下がある。 362,170円 200,000円 100,000円/月

【支給の方法】

・償還払いもしくは受領委任払いでの支給される
Q.償還払い、受領委任払いとは?

償還払い

「償還払い」→費用が一部払い戻してもらえるシステム

①支払いの際、事業者に全額支払う
②各市町村に申請後、介護保険の給付の対象分、支給される。

〈例:1万円の住宅改修・1割負担の場合〉
①工事後、事業者に1万円支払う
②各市町村に申請後、9千円戻ってきます。

受領委任払い

「受領委任払い」→介護保険の申請を事業者に委任することで、負担分支払うだけで済むシステム

①支払いの際、事業者に負担分(1~3割)支払う
②事業者が各市町村に申請後、介護保険の給付の対象分が事業者に支給される。

〈例:1万円の住宅改修・1割負担の場合〉
①工事後、事業者に1千円支払う
②申請後事業者に各市町村が9千円補填する。

 

【住宅改修申請手続きについて】

事前申請制度です。

【手続きの流れ】

①要介護認定
②担当ケアマネージャーに相談(理由書の作成)
③事前申請(事前申請書類[見積・図面・写真など]の提出)
④申請の承認
⑤改修工事(着工)
⑥改修工事(完成)
⑦事後申請(住宅改修費支給申請[領収書・写真など])
⑧審査
⑨支給決定
⑩住宅改修費の支給

 

③事前申請について

事前申請書イメージ

【必要な書類】
1.申請書、2.理由書、3.見積書、4.施工計画書(図面)、5.承諾書、6.委任状、7.施工前の写真(日付入り)

1.申請書:記入が必要なすべての項目が記入されていること。

・被保険者の氏名、住所の記入及び押印がある

2.理由書:ケアマネージャー、福祉住環境コーディネーターなどが作成。

・被保険者氏名・住所が被保険者証に記載されているものと一致している
・身体状況と改修箇所の問題点が具体的に記入されている
・改修内容が介護保険対象として妥当
・入院中または、入所中の場合、退院または退所予定日が記入されている

3.見積書:対象工事が詳しくわかる工事内訳書。工事業者や貸与事業所などが作成。

・工事見積書の宛名は、申請者(被保険者)の氏名/工事見積書には、日付及び施工業者等の記入、押印がある
・改修の箇所、種類ごとに内容、単価、数量等を区分して記入されている(「○○工事一式」、「スロープ設置工事一式○○万円」では、材料費や施工費の内容が確認できないので見積内容が分かるように記入されていること。)
・見積書の中に、介護保険対象以外の項目が含まれている場合は、保険対象となる部分が分かるよう内訳を記入する
・工事見積書の計算が合っている

4.施工計画書:図面。工事業者や貸与事業所などが作成。

・工事箇所だけでなく、被保険者本人の生活動線がわかり、改修の位置が確認できるものである
・段差解消の場合、改修前後の状態を図面に記入しているか、断面図等で前後の状態が確認できる
・部屋の名称は、「住宅改修が必要な理由書」、また「写真」、「見積書」と一致している

5.承諾書:借家で家主の承諾が必要な場合に作成。

・記入が必要なすべての項目が記入されていること。(賃貸住宅の場合は、所有者(管理者)の署名、押印があること。)

6.委任状:事業者が委任を受けて申請書などを提出する場合

7.施工前の写真

・改修箇所ごとの写真の添付がある
・日付入りの写真(撮影日のわかる写真であること)
・段差解消の場合、段差にスケール等をあてた状態で撮影し、段差の高さが確認できるもの
・全景の写真が困難な場合は、分割して全景がわかるように撮影する

事前申請後に介護度が変わり住宅改修の内容も変えたい場合、一度申請を取り下げて新たなプランで改修工事の事前申請を出す必要があります。

⑦事後申請(住宅改修費支給申請)について

事後申請書類イメージ

【必要な書類】
1.住宅改修費支給申請書兼請求書 、2.工事費内訳書、3.領収書、4.施工後の写真(日付入り)、5.委任状兼承諾書

1.住宅改修費支給申請書兼請求書

・記入が必要なすべての項目が記入されている
・着工日は事前承認の日以後の日付
・支給申請日は工事完了の日以後の日付

2.工事費内訳書

・改修の箇所、種類ごとに内容、単価、数量等を区分して記入されている
(事前申請時の工事見積書と工事完成後の内容、金額に変更がない場合は、必ずしも提出の必要はない。しかし、施工内容を確認するためにもできるだけ添付をした方がよい)

3.領収書

・領収年月日が記入されている。
・施工業者名および押印が必要。
・領収書の宛名は申請者(被保険者本人)

【償還払いの場合】
・領収金額は、見積金額(工事費内訳書)と同額であること。

【受領委任払いの場合】
・領収金額は、被保険者負担額と一致すること。(保険対象部分の1割または2割)

4.施工後の写真

・改修箇所ごとの写真の添付がある
・日付入りの写真(撮影日のわかる写真であること)
・固定状況や段差状況が確認できる
・できるだけ改修前と同じ位置・角度から撮影する

5.委任状兼承諾書:受領委任払いの時のみ

・記入が必要なすべての項目が記入され、押印がある

提出期間は事前審査通過から2年までが目安。超えそうな場合(入院など)は各市町村に確認が必要です。また、事前審査の時より介護度が上がったなどの理由で、改修内容が変わりそうな場合は、すでに事前審査で通ったものを取り下げてから新しい改修内容で再提出の必要があります。

対象になる住宅改修の種類

保険給付の対象となりうる住宅改修の範囲は、持ち家・借家の不公平の問題から「指定する小規模なものとならざるを得ない」との位置づけ。超えるものは自費負担です。

①手すりの取り付け

廊下、便所、浴室、玄関から道路までの通路などに、転倒予防や移動または移動動作を補助することを目的として設置するもの。移動の際、手を滑らせながら使うものや、立ち座りの動作の際つかまって使用するものなど。(手摺の形状は二段式、縦付け、横づけなど)

対象外となるもの
居宅の床において使用するもの、便器またはポータブルトイレを囲んで据え置くものなど工事を伴わないものは、「住宅改修」の項目ではなく「福祉用具の貸与」の項目で給付となります。

②段差の解消

スロープイメージ

居室、廊下、便所、浴室、玄関等の各室間の床の段差及び玄関から道路までの通路等の段差または傾斜を解消するためのもの。(敷居を低くする工事、スロープを設置する工事、浴室のかさ上げなど)

対象外となるもの
工事を伴わないスロープは「用具貸与」の対象となる。浴室すのこの設置は「用具購入」の対象。また、昇降機、リフト、段差解消機など動力により段差を解消する機器を設置する工事は対象外となります。

③滑りの防止および移動の円滑化のための床または通路面の材料の変更

床イメージ

居室であれば、畳敷きから滑りにくいフローリングなどへの変更、浴室であれば床材の滑りにくいものの変更、通路面であれば、滑りにくい舗装材への変更など。

④引き戸などへの扉の取り換え・引き戸などの新設

引き戸イメージ

開き戸を引き戸、折り戸、アコーディオンカーテンなどに取り換えるといった扉全体の取り換えのほか、扉の撤去、ドアノブの変更、戸車の設置、引き戸を新たに設置する工事など。

対象外となるもの
引き戸などへの扉の変更に合わせて自動ドアとした場合、自動ドアの動力部分の設置は保険給付の対象に含まれません。

⑤洋式便器などへの便器の取り換え

洋式トイレイメージ

和式便器から洋式便器への取り換え、便器の位置、向きの変更など。

対象外となるもの
腰掛便座(和式便器の上において腰掛式に変換するもの、洋式便器の上において高さを補うもの、電動式またはスプリング式で便座から立ち上がる際に補助できる機能を有しているもの、移動可能な便器)は、「福祉用具の購入」の給付対象です。和式便器から暖房便座・洗浄機能などが付加されている洋式便器への取り換えは「住宅改修」の給付対象ですが、すでに洋式便器である場合は対象になりません。

⑥その他①~⑤の住宅改修に付帯して必要となる住宅改修

①手摺取付のための壁の下地補強など
②浴室の床段差解消(浴室の床のかさ上げなど)に伴う給排水設備工事、スロープの設置に伴う転落や脱輪防止を目的とする柵や立ち上がりの設置など
③床材変更のための下地の補強や根太の補強または、通路面の材料の変更のための路盤の整備など。
④扉の取り換えに伴う壁または柱の改修工事など
⑤便器の取り換えに伴う給排水設備工事、便器の取り換えに伴う床材の変更など

などが想定される。

 

介護保険適応以外の工事で補助金のでるものはありますか?

各市区町村によって異なります。ご興味のある方はお気軽にお問い合わせまでおねがいいたします。

 

家の段差を軽減・解消したいとお考えの方へ、方法を7つにまとめた記事がありますので、併せてご確認ください。

 

ほかのコラムも見る>


株式会社トライアングルでは、

バリアフリー・介護リフォームの専門家集団が
「朝起きてから寝るまで」を共に悩み、解決します 

バリアフリーリフォームとは家の中を住みやすくする、というでだけではありません。私共は、家の中の障害や不便をなくす事で、よりエネルギッシュに世界と繋がって生活ができることを目標にしております。

「毎日のお出かけが億劫でなくなった!楽しく生活しています」というお声をいただけることが何よりの誇りです。

バリアフリー化の悩み介護リフォームの悩み、なんでもお声掛けくださいませ!