玄関は上り框など段差が多く、足腰が弱っている方には移動が負担になり、出入りが億劫になりがちな場所です。
段差に座って靴の脱ぎ履きや、来客の方とのちょっとしたやり取りの場になるなど便利な一面もありますが、安全という面で段差が無い方が安心です。
さて、玄関をバリアフリーにしようと思ったらどんなリフォーム(工事)が必要でしょうか。ここでは玄関のバリアフリーを考えている方向けに、快適で過ごしやすい玄関にするためのポイントや、ちょっとした工夫を紹介します。
車いす利用の方は下記のリンクも合わせてご覧ください
玄関のバリアフリーリフォーム。何をする?
- 手すりの設置(動作を行う場所ごと)
- 踏み台
- スロープ
- 滑りにくい床材に変更
- 玄関ドアを引き戸へ変更
- 固定いす(介護保険対象外)
- 足元灯(介護保険対象外)
- 段差解消機
- 玄関の床面積やドアの開口を広げる
上記のように様々ですが、「ドアの開け閉めの負担を軽減するもの」「移動の時の転倒を防ぐ、または負担を軽減するもの」「靴の脱ぎ履きを補助するもの」「段差の上り下りの負担を減らすもの」と、それぞれ自身が玄関でする行動を細かく分けていくと、何が必要か見えていきます。
玄関の段差「上がり框(あがりかまち)」
玄関と土間を、「内」と「外」に分ける段差が”上がり框(あがりかまち)”です。家の中で靴を脱ぐ習慣のある日本では「家の顔」とも言われ大事にされてきました。「家に上がる」という表現もここからきています。
上がり框には、「雨の水滴や埃が入らない」「靴を脱ぎ履きする場所がわかりやすい」「靴の脱ぎ履き際に腰掛けられる」「家に上がるほどでもない用事の際のお客さんとの社交の場になる」などのメリットがあります。
一方、バリアフリーの観点からすると、段差が高いため躓いて転倒しやすいこと、車いす利用の方の玄関の移動が難しくなるというデメリットがあります。
玄関のバリアフリーリフォームを種類別に詳しく紹介
ご自身が玄関を通るときどんな動作をしていますか?これが、バリアフリーの住宅改修をする上で最も重要な考え方となります。
「玄関ドアを開ける⇔閉める」「移動の時の転倒を防ぐ、負担を軽減する」「靴の脱ぎ履きをする」「段差を上り下りする」。この4つの動作とそれぞれの工事の項目を説明していきます。
Point 1. 手すりの設置[介護保険住宅改修対象]
介護保険の住宅改修制度を利用した工事の中で最も多いのが手すりの設置です。動きの要所要所でに手すりがあると、動作を補助してくれるだけでなく、転倒の予防もしてくれます。
気になる予算については、手すりは長さによって料金が異なります。
基本的には介護保険の住宅改修制度を利用して工事することが多いでしょう。玄関の場合、手すりを取り付ける場所もそう多くないため、相場は2~3万円ほどが目安です。
「移動の時の転倒を防ぐ、負担を軽減する」
移動するときは手すりに手を滑らせて使用することが多いため、「横手すり」を設置するケースが多いです。
設置する場所としては、「玄関ドア⇔上がり框までの土間(靴を脱ぎ履きする場所まで)」と、「上がり框⇔居室までの廊下」が多いです。
下記項目「靴を脱ぎ履きする場所・段差の上り下りをする(上がり框)」場所と一体化した、L字型の手すりも多くみられます。
「靴の脱ぎ履きをする」「段差を上り下りする」
立ち座りの動作をする場合は力の入りやすい「縦手すり」を設置するケースが多いです。実は、介護保険の手すりの多くが、この縦手すりまたは横手すりと一体になったL字型の手すりとなっています。
Point 2. 踏み台?スロープ?どっちがいい?[介護保険住宅改修対象]
上がり框の段差の負担の軽減のための工事でよく行われるのは、踏み台またはスロープの工事です。どちらも、固定をするなど工事を伴うものは「介護保険の住宅改修」、工事を伴わない置くだけのものは「福祉用具貸与」の項目となります。
気になる予算は、踏み台の設置で1~3万円、スロープの設置の場合は設置環境とスロープの長さにより大きく変動するため、気になる方は一度設置したい場所を担当のケアマネージャーさんや、バリアフリーリフォームに特化した工務店に見てもらうことをおすすめします。お問い合わせへ
「段差を上り下りする」
介護保険の住宅改修の考え方としては、上がり框の高さは180mm以下が目安です。180mmを超える場合は踏み台やスロープ等の設置をおすすめしています。
手すりを併せて設置するとより安全性が増します。
自力で歩行できる方は主に踏み台の方をご案内しています。スロープを設置する場合緩やかな傾斜にする必要があるため、その分幅を取ってしまうことや、多点杖をご利用の方は傾斜があると杖が安定しないなどの理由があるためです。
スロープをご案内するケースは、車いす利用の方、歩行器を利用の方など、車輪がついたもので段差を超える場合です。
どちらも特性があるため、ご自身の状況と併せてご検討ください。担当のケアマネジャーさんや、福祉用具専門相談員、バリアフリーに特化した工務店に相談してみることが、一番の解決策です。
株式会社トライアングルでは、
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バリアフリーリフォームとは家の中を住みやすくする、というでだけではありません。私共は、家の中の障害や不便をなくす事で、よりエネルギッシュに世界と繋がって生活ができることを目標にしております。
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Point 3. 靴の履き替えの補助~固定いす~[!介護保険住宅改修対象外]
上がり框のそばに固定いすを設置すると、上がり框の昇降や靴の脱ぎ履きが楽になります。ベンチのようなものや、壁に固定する折りたたみ式のいすなどがあります。
動作の補助のための手すりと、座って手の届く位置に杖を置くことができるホルダーなどあれば、さらに便利ですね。
固定いすは、介護保険の住宅改修の対象外です。
紹介:壁付折りたたみ椅子
Point 4. 段差解消機の設置~車いす利用の方向け~[!介護保険住宅改修対象外]
スロープを作るのに緩やかな勾配を保つって作成できるほどスペースがない時は、段差解消機の出番です。
段差解消機は、機種にもよりますが電動で80~100cmの高さまで垂直に床を押し上げるようにして昇降します。特に、車いす利用の方は、車いすに乗ったまま段差を昇降できるため、大変便利でおすすめです。
気になる予算について。段差解消機は、「設置場所」「レンタルするか購入するか」「機体の機能にオプションをつけるか」など条件によって大きく変わります。購入の場合、本体・設置工事や付帯工事含めて、1000万円~と考えておく方が安心です。
段差解消機の施工事例
画像は、段差解消機を設置後本体が昇降しているのを映した様子。
段差解消機で上がれる高さがよくわかります。
垂直に昇降するため、スペースも抑えられることも魅力の一つです。
参照:施工事例
【番外】玄関の位置を変えるという選択肢~車いす利用の方向け~
車いす利用の方と相談してみると、「どうしても玄関をバリアフリー化するにはスペースが足りない」「道路から玄関にたどり着くまでの経路のバリアフリーをするのが難しい」「玄関から居室まで廊下の幅を広げるのが大変」という状況が出ることがあります。
この解決方法として、新たに玄関口を作る(今まで使っていた方も家族のために残す)という方法があります。
例えば、「居室(リビング)の窓を玄関ドアと同じように外からも施錠できるようにして、外から直接居室(リビング)入れるようにする」、「ホームエレベーターを設置してそのエレベーターホールを玄関にする(1Fが駐車場、2Fへ続く階段を上がって玄関がある方)」などです。
元あった窓をそのまま使う事、道路⇔玄関⇔居室までのバリアフリー化が一部必要なくなることで、結果的に費用が抑えられるという面もあります。
次に紹介するのはその玄関の位置を変更した施工事例です。
居室(リビング)の窓を出入口に変更した施工事例
画像はリビングの窓を出入口にした例です。
右手の窓に玄関ドアと同じように施錠できる機能をつけ、窓と外の地面は段差があるため、窓を出てすぐ先には段差解消機を設置しました。
参照:施工事例
リビングの窓を出入口にした例2つ目です。出入りをするのを補助するための縦手すりがついているのがわかります。
坂道に建物があるため、道路⇔玄関の間の階段がどうしてもネックになっていました。
道路から敷地内に入る位置(門の位置)を変更し、玄関ではなくリビングに直接道を敷くことで、高低差を軽減しています。
参照:施工事例
ホームエレベーターを設置してエレベーターホールを出入口にする
画像は、1Fが駐車場、階段を上がって2Fに玄関がある家屋の施工事例です。
車いす利用で生活するにあたり、道路(門)⇔2Fの玄関の移動が非常に負担が大きいものになり、ホームエレベーターを設置をしました。
元あった2Fの玄関口は家族が使用するために残しています。
参照:施工事例
その他、家の中のバリアフリーをしたいときに知っておきたいポイントをまとめました。ご興味のある方は下記のリンクをご覧ください。
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