毎日使用するトイレ。バリアフリー化しようといっても、ご利用者様の身体状況により必要な設備は様々です。利用する人の身体機能がどの程度か、利用時にどの程度のスペースが必要で、どんな動作をするかを考えることが大切です。
また、トイレのバリアフリーリフォームは、便器だけではなく個室内全体を考える必要があります。
では、あなたがトイレをバリアフリーにしようと思ったらどんなリフォーム(工事)が必要でしょうか。それぞれ工事の種別ごとに解説します。
トイレのバリアフリー化。何をする?
- 手すりの設置
- 床を改修する(段差の解消・滑りにくい床材へ変更)
- 戸・扉の変更
- 和式便器から洋式便器へ変更
- 便器のかさ上げ
- 届きやすい位置・わかりやすいリモコンやボタン
- ペーパーホルダー
上記のように様々ですが、身体状況によって必要な設備が違うため、全てを改修する必要はありません。
「移動や立ち座りの動作に不安がないか」「座っている姿勢を保持できるか」「手の動作に不安がないか」などの状況を鑑みながら改修計画を立てていってください。
トイレの中だけでなく、トイレまでの通路の安全も確保する
トイレは毎日使用する場所です。とはいえ、長時間利用する場所ではないため、必ずどこかの部屋からトイレの個室まで移動して利用しているはずです。
であれば、トイレのバリアフリー化を考えるときは、トイレにたどり着くまでの通路の安全も必要です。
例えば利用状況によっては、「夜間に利用するので足元灯を用意する」「居室からトイレまでの廊下に手すりを設置する」「居室からトイレの位置が遠いので、居室の近くにトイレを新設する」なども、トイレをバリアフリー化する上で必要になってくることがあります。
株式会社トライアングルでは、
バリアフリー・介護リフォームの専門家集団が
「朝起きてから寝るまで」を共に悩み、解決します
バリアフリーリフォームとは家の中を住みやすくする、というでだけではありません。私共は、家の中の障害や不便をなくす事で、よりエネルギッシュに世界と繋がって生活ができることを目標にしております。
「毎日のお出かけが億劫でなくなった!楽しく生活しています」というお声をいただけることが何よりの誇りです。
バリアフリー化の悩み介護リフォームの悩み、なんでもお声掛けくださいませ!
トイレのバリアフリーリフォームを種類別に詳しく紹介
Point.1 手すりの設置[介護保険住宅改修対象]
介護保険住宅改修の定番ともいえる手すり設置。動作の種類が多いため、手すりもいくつか種類があります。トイレでする動作と補助の目的ごとに紹介していきます。
立ち座りの動作を補助する
トイレに設置する手すりで一番多いパターンがトイレの便座までの移動+立ち座りの動作を補助+座位の姿勢保持するための手すりです。
一般的に立ち座りの動作は縦手すりの方が使用しやすく、便座の場所までの移動は手すりの上に手を滑らせる(あるいは擦る)ような動きで移動するため横手すりを使用するケースが主流です。
そのため、画像ではどちらも兼ね備えたL字型手すりをトイレの壁に設置しています。
座っている姿勢を保持する
↑遮断式手すり
座っている姿勢を保つための補助をする手すりor設備です。肘をおくような姿勢で使用します。姿勢保持を助けて、トイレがよりスムーズになります。
トイレの周りに設置する補助手すり[介護保険住宅改修対象・福祉用具貸与対象]
「介護保険住宅改修の対象」のものと「福祉用具貸与の対象」のものがあり、その違いは床に固定したものが「介護保険住宅改修の対象」、固定していないものが「福祉用具貸与の対象」となります。
どちらが良いかは使用状況や、介護保険の利用状況を鑑みて判断すると良いでしょう。
便器を挟み込むような形で設置をするので、設置が簡単であることや、椅子と同じように肘置きに手を乗せて立ち座りができるため、上半身をしっかり支えることができ、動作をサポートすることができます。
Point.2 床を改修する[介護保険住宅改修対象]
古くからある日本家屋のトイレは、タイル張りで床が一段下がっていることが多く、バリアフリーの観点から言うと快適とは言いづらい設計になっています。
タイル張りであることも床が一段下がっていることも理由があるのですが、時代の流れと共に必要がなくなってきており、現在ではフラットな床が主流です。
トイレの床を改修する時場合のポイントは2つ。床の段差を解消することと、滑りにくい床材に変更する(お手入れがしやすいものであるとなおよし)です。それぞれについて解説していきます。
段差を解消する 床のかさ上げ、かさ下げ
バリアフリーを考える上で段差というものはとても重要です。特に和式トイレは前述の通り床が一段下がっているケースが多いため、和式便器→洋式便器へ変更する際併せて床のかさ上げを行うことがあります。
しかし、そもそもなぜ古いトイレには段差があるのでしょうか。実はしっかりとした理由があるため説明していきます。
なぜ古いトイレには段差があるのか
古いトイレに段差がある理由は大きく分けて3つあります。
- 床下の排水管のスペースを確保するため
- トイレが内開きの時、スリッパが引っかからないようにするため
- 水を流してトイレを掃除しやすくするため
それぞれ解説していきます。
1.床下の排水管のスペースを確保するため、と言うのは特に昔からあるマンションに多い理由です。
水が上から下に流れる性質を利用して排水管は作られています。そのため、トイレの排水管を引くときにはある程度勾配が必要です。この勾配が充分でないと水の流れが悪かったり、最悪逆流する場合もあります。昔のマンションの排水管は縦の管が上下階に貫通していて、そこへ向かって各部屋の排水が合流して流れ込みます。結果横に引く排水管がある程度長くなり、その分高さも必要になるわけです。
2.トイレが内開きの時、スリッパが引っかからないようにするため
現在は、戸建のトイレは事故防止のため外開きの方が主流ですが、昔の家は内開きが多くありました。トイレ用のスリッパがドアに引っかかってバラバラになるのを防ぐため、スリッパ分の高さが一段下がっているケースがあります。
3.水を流してトイレを掃除しやすくするため
昔のトイレはタイル張りになっていて、床に備わった排水溝に水を流しながら掃除していました。その際、家に水が流れ込むのを防ぐために床を一段下げていたのです。
滑りにくい床材へ変更する
タイル張りの床から、転倒を防ぐため、滑りにくい床材に変更するリフォームなどが主に当てはまります。
画像は、表面が水に強いビニル系素材で、水回りに適した床材です。抗菌加工で、遮音性、クッション性にも優れています。
木フローリング等と違い水が染み込んでいく心配がないため、メンテナンスも容易です。
Point.3 戸・扉の変更[介護保険住宅改修対象]
開き戸→引き戸、折れ戸、アコーディオンカーテン、ロールスクリーンへ変更するなど扉全体の変更のほか、ドアノブ(握り玉→レバーハンドル等)の変更、戸車の設置、引き戸を新たに設置する、など多岐にわたります。
開き戸などは戸を開けるときに一歩(半身)下げてから戸を引くという動作があるため、身体があおられて転倒する危険があります。そのため、より動作が引き戸等への変更が推奨されています。手すり設置と併せて行うとさらに安心です。
画像のように、トイレの扉はそのままに、扉の取っ手のみを変更することが可能です。
より取っ手が掴みやすく、少ない力で鍵の開け閉めができます。
Point.4 和式便器を洋式便器へ変更する[介護保険住宅改修対象]
和式便器から洋式便器に変更する工事も介護保険住宅改修の対象となります。立ち座りの動作の負担が軽くなる他、お手入れも楽になります。和式便器にかぶせるタイプの簡易的なものは介護保険住宅改修の対象外です。
交換にかかる費用はおおよそ22~50万円です。
洋式便器には「組み合わせトイレ」「一体型トイレ」「タンクレストイレ」の3種類があります。
組み合わせトイレ
一体型トイレ
タンクレストイレ
洋式トイレの種類 | 説明 | リフォーム費用 |
---|---|---|
組み合わせトイレ | 独立した便器・便座・タンクを組み合わせるタイプ | 6〜22万円 |
一体型トイレ | 便器・便座・タンクが一体になっているタイプ | 20〜35万円 |
タンクレストイレ | 水をためるタンクがない形状がないタイプ | 20~60万円 |
和式便器→洋式便器の施工事例
After
Before
画像は和式便器から洋式便器へ変更した例です。
施工前の和式便器は床が一段上がっており、移動や用を足す際の負担が大きかったため、床のかさ下げ(かさ上げ)も同時並行で行いました。
参考:施工事例
株式会社トライアングルでは、
バリアフリー・介護リフォームの専門家集団が
「朝起きてから寝るまで」を共に悩み、解決します
バリアフリーリフォームとは家の中を住みやすくする、というでだけではありません。私共は、家の中の障害や不便をなくす事で、よりエネルギッシュに世界と繋がって生活ができることを目標にしております。
「毎日のお出かけが億劫でなくなった!楽しく生活しています」というお声をいただけることが何よりの誇りです。
バリアフリー化の悩み介護リフォームの悩み、なんでもお声掛けくださいませ!
Point.5 便器のかさ上げ
洋式便器は座面を高くすると、立ち座りがしやすくなります。特に関節リウマチの方や、膝関節に可動制限のある方は負担が減るため、膝関節の曲げ伸ばしに不安がある方におすすめです。
補高便座[介護保険住宅改修対象・福祉用具の購入の対象]
便座の上に設置して高さを補うのが補高便座です。高さは3~6cmほど高くすることができます。
洋式便器の便座に置くだけで設置できるものが「福祖用具購入の対象」、固定して設置するものが「介護保険住宅改修の対象」です。
介護保険住宅改修の対象の補高便座
福祉用具の購入の対象の補高便座
番外:立ち上がり補助具[福祉用具の購入の対象]
電動または、スプリング式で便座から立ち上がるのを補助してくれるのが立ち上がり補助具です。介護保険を利用する場合は福祉用具の購入の対象となります。
番外:トイレリフト[!介護保険住宅改修対象外]
立ち上がり補助具と同じく電動で便座から立ち上がるのを補助してくれるのがトイレリフトです。製品によっては上下に昇降するものと、斜め上下に昇降するものがあり、それぞれ関節の可動域を加味してどちらを選ぶかを決定します。
既存の便座に後付けすることができます。リモコンで操作でき、手すりも跳ね上げ式のため介助者も利用者も使用しやすいように設計されています。
Point.6 届きやすい位置・わかりやすいリモコンやボタン
トイレのボタンには現状統一した規格がありません。そのため、視認しやすくどれが流すボタンかがすぐにわかるようになっているものを選ぶことをおすすめします。
最近のトイレは多機能になった分ボタンが多く、認知症の方や視覚障害の方がどれを押していいか迷うことがあります。
特に視覚障害などがある方はボタンの位置を探すのにも手間がかかります。すっと手を伸ばして届く位置に、何のボタンかわかりやすいボタンを設置することをおすすめしています。
Point.7 ペーパーホルダー
「片手が自由が利かず、トイレットペーパーを切りにくい」「トイレットペーパーの紙を延々と出してしまう」などのお悩みを持つ方は、その対策専用のトイレットペーパーホルダーをおすすめします。
それぞれトイレットペーパーを取り換えやすく、紙を切りやすいように作られていて便利です。
ワンタッチペーパーホルダー
カットするとき紙を押さえるふたが浮き上がりにくいように設計されたペーパーホルダーです。トイレットペーパーは交換は簡単に取り換えられるように下から押し込むワンタッチ式を採用しています。
芯あり、新足ペーパー両方に対応しています。
TOMECO
番外:オストメイト
様々な病気や事故などにより、おなかに排泄のための「ストーマ(人工肛門・人口膀胱)」を造設した人をオストメイトと呼びます。
ストーマは排泄を自分でコントロールできないため装具を使います。ほとんどのオストメイトが、おなかにつけた装具で便や尿をためて処理しています。
オストメイトの施工事例
番外:トイレの位置を移動する
寝室や居室からトイレが遠い場合、トイレを新たに新設することをおすすめすることがあります。介助者のスペースを取りたいなどの理由でトイレの空間を広くしたい場合も同様です。
Case.1 使用頻度の低い部屋をトイレに改装する:施工事例
画像は元は書斎だった場所にトイレを新設した事例です。
もともとあったトイレも家族用に残し、新たに車いす利用のまま使用しやすいトイレを新設しました。
施工事例
Case.2 押入れをトイレにする
寝室とトイレの距離を近くしたいとのご希望の際、その寝室の押入れスペースを使ってトイレを新設するプランをご提案することがあります。
より近くに配置することで、ご自身の力でトイレを利用できるケースがあるためです。
換気などには充分配慮しておりますので、臭いなどは気になりません。
また扉を閉めてしまえばトイレだとわかりづらい設計のため、見た目も部屋に馴染みます。
施工事例
番外:その他 特殊な形状のトイレの施工事例
画像は、座ったまま摺るように移動する方が使いやすいようにトイレを埋め込み高さを調整したトイレです。
それぞれ使いやすい高さが違うため、電話帳を積み上げて座ってもらい、使いやすい高さを検証して高さを調整、仕上げました。
施工事例
その他、家の中のバリアフリーをしたいときに知っておきたいポイントをまとめました。ご興味のある方は下記のリンクをご覧ください。
株式会社トライアングルでは、
バリアフリー・介護リフォームの専門家集団が
「朝起きてから寝るまで」を共に悩み、解決します
バリアフリーリフォームとは家の中を住みやすくする、というでだけではありません。私共は、家の中の障害や不便をなくす事で、よりエネルギッシュに世界と繋がって生活ができることを目標にしております。
「毎日のお出かけが億劫でなくなった!楽しく生活しています」というお声をいただける