横浜市に障害者作業所としての機能を持ちながら、地域に開かれた「働く場」として、誰もが立ち寄りたくなる「まちのパン屋さん」が誕生しました。
街に自然と溶け込むかわいらしい外観に車いすでも入りやすいバリアフリー設計でつくられたこの施設は、地域の人と利用者のあたたかい交流が生まれる場所です。
プロのパン屋さんから受け継いだ想いのこもった設備と利用者さんが丁寧に焼くパンが、まちに愛される本格的なパン屋さんとしての土台を支えます。
一つ一つの工夫に、やさしさと挑戦の物語が詰まったこの場所は、障害のある人もそうでない人も、一緒に笑顔になれる「しごと場」として地域の中でひそかに根付いています。
場所 | 神奈川県横浜市 |
建物データ | 新築、戸建て、2階建て |
街角に溶け込む、かわいらしいパン屋の外観デザイン
まるで絵本から飛び出してきたような、あたたかみのある外観。住宅地を歩いていくとふっと現れる障害者作業所の運営するパン屋さんです。
地域に暮らす方がふらりと立ち寄りやすいよう「福祉施設らしさ」を強調せず、パン屋としてのかわいらしさと清潔感を大切にしました。
手書きの看板やガラス越しに見えるパンが、「今日はどんなパンがあるかな?」と気軽に入ってみたくなるような雰囲気を演出しています。
障害者の方が働く作業所でありながら、地域のパン屋さんとして自然に溶け込み、誰もが訪れたくなるような「街の顔」となる外観を目指しました。
人と人をつなぐ「交流カウンター」が生み出す温かな時間
店舗と工房の間に設けられた「カウンター」はこのベーカリーの象徴ともいえる場所です。ここでは、パンを買いに来たお客様とパンを作る利用者の間に自然な会話が生まれます。
「おいしそうですね」「どれがおすすめですか?」
そんなひと言が交わされるだけで、店内に活気がわき、距離もぐっと縮まります。
一方的な「支援」ではなく、お互いを認め合い、つながり支える関係。障害者と地域をつなぐ新しいコミュニケーションの形です。
カウンター越しに見える利用者さんのいきいきとした表情や丁寧な接客は、地域の方々にとって特別な存在になることを願ってこのカウンターを設置しました。
買い物が、ただの消費行動ではなく「顔の見えるやりとり」になる、それがこのパン屋の大きな魅力です。
焼きたてパンが並ぶ明るいフロア空間
太陽の光が差し込むフロアには、焼き立てのパンがずらりと並び、香ばしい香りに誘われて陳列台をのぞき込めば、ひとつひとつ丁寧に作り上げた素敵なパンが手に取ってもらうのを待ち望んでいます。
この空間は「パンを選ぶ楽しさ」を大切にしたレイアウトになります。車いすの方でも見やすく取りやすい高さに配置された棚や、照明と自然光を組み合わせた明るい雰囲気が、誰もが気持ちよく買い物できる工夫です。
パンの並ぶ風景を見て「どれにしようかな?」と迷う時間を楽しいひとときは、パンと出会う楽しみを演出してくれます。
利用者が心をこめて焼いたパンとお客様の「出会いの場」をやさしく支える空間です。
お客様の姿が見える工房で、働く喜びを実感
工房は販売スペースとの間をガラスで仕切る「見える設計」を採用しています。焼き立てのパンを選ぶお客様の姿がパン作りをする利用者の目に自然と映るようにしました。
「自分たちのつくったパンが、誰かの手に渡っていく」その瞬間を感じられる工夫です。
誰かのために働いているという実感は大きなモチベーションにつながります。また、お客様にとっても「ここでこうしてパンが作られている」という安心感と、作り手のへの信頼を感じられるようになります。
福祉の現場と地域社会の優しいつながりを後押しする仕掛けになっています。
プロ仕様の設備を備えた本格的なパン工房
本格的なパン作りを実現するため、このパン工房にはプロ仕様の製パン設備が整えられています。
この設備はかつて地域で愛されていたパン屋さんで長年使われていたものです。閉店に伴い使用されなくなったものを店主のご厚意で格安で譲っていただいた思い入れの深い設備です。
ただの設備ではなく、味と歴史が詰まった大切な存在として、新たなパン屋にその想いを受け継ぎました。
また、実はパン工房に製パン設備の設置するときには思いがけないハプニングがありました。
店主さんの想いの詰まった大切な製パン設備が、どうしても出入口から入らず、やむなく一部の壁を壊して機械を入れたあと、再び壁を作り直すことになったのです。
現場に携わる人たちの「どうしてもこの機械を使いたい」という強い思いが形になり、ハプニングがありつつもなんとか工房が形になりました。
適切な衛生管理・動線設計も徹底し、障害のある利用者の方々が安全に、そして自信をもって作業ができる環境を実現しています。ここで生まれるパンには、人のぬくもりと技術と物語が込められています。
利用者とスタッフが安心して働ける事務所スペース
パン屋工房の上の階に設けられた事務所スペースは単なる作業場の裏方ではありません。
ここは、利用者の体調や気持ちに寄り添いながら一人ひとりと向き合うための大切な「拠点」です。安心して働き続けられるよう、スタッフがいつでもそばにいるよいう「見守りの距離感」が設計に込められています。
また、事務所には相談に使える利用者と静かにはませるスペースも確保しました。ちょっとした不安や悩みに耳を傾けることが、日々の安定につながります。
支援の質を高める土台を作り、人と人が信頼を築きながら、安心して働ける環境の構築を目指しています。
自然光が心を照らす、特徴的な三角の窓
この施設のシンボルともいえるのが、2階の位置に設けられた三角形の窓です。朝の光がやわらかく差込み、室内に時間の流れと季節の移ろいを届けてくれます。
自然光はただ空間を明るくするだけでなく、そこで働く人の気持ちを穏やかに整えます。光と空間デザインが施設らしくない開放感のある空間を演出し、あたたかな光が働く日々を見守ってくれます。
移動のバリアをなくす、バリアフリー対応エレベーターの導入
パン工房と事務所が異なる階にあるこの施設では「すべての人が同じように移動できること」が欠かせない設計要件でした。その課題を解決したのが、エレベーターです。
車いす利用者や、足腰に不安のある方でも、安心して上下階を移動できるよう、広さ・操作パネルの高さ・安全装置など細部まで配慮されたモデルを採用しています。
1人で使える安心感と、介助が必要な場合でもスペースにゆとりがあるエレベーターです。
「誰にとっても行けない場所がない」という安心感をつくることが、働く人・訪れる人の行動範囲を広げることのできるバリアフリーの大切な思想です。
誰でも使いやすい多機能トイレの設置
この施設では、トイレもまた、「全ての人の使いやすさ」を最優先に設計されています。
車いす利用者や高齢の方、子供連れの方、誰にとっても安心して使えるように多機能トイレを導入しました。
室内は車いすが旋回できる広さを確保し、手すりの配置や洗面台の高さも細かく配慮しています。オストメイト対応設備も整え、多様な利用シーンに柔軟に対応できます。
物理的な段差だけでなく、心のハードルも取り除く空間として、ユニバーサルなデザインのトイレは大切な役割を果たしています。
ご利用ありがとうございました!
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