【徹底解説】ホームエレベーターは停電や災害時に使える?安全対策と非常時の対応策

【徹底解説】ホームエレベーターは停電や災害時に使える?安全対策と非常時の対応策 コラム

近年、高齢化社会の流れにより、ホームエレベーター(家庭用エレベーター)の設置・検討が増えてきています。

一般社団法人日本エレベーター協会の調べによると、2023年度のホームエレベーターの新規設置台数は2,418台、保守台数は17,933台で、約18,000の家庭にエレベーターが設置されていることがわかります。(ELEVATOR JOURNAL No.50 2024年8月発行 一般社団法人日本エレベーター協会 より引用)

しかし、災害の多い日本では災害・停電時にエレベーターが使えなくなるのでは?と不安を感じる方も多いのではないでしょうか。

今回は、停電や災害時のホームエレベーターの安全性、非常時の対応策、事前にできる対策について詳しく解説していきます。

無料相談はこちら

ホームエレベーターは停電や災害時に使えるのか?基本を解説

ホームエレベーターは停電や災害時に使えるのか?基本を解説

日本では地震・台風・停電といった災害が多い国です。ホームエレベーターを検討する場合、事前に想定して備えたい災害は以下の4つになります。

  1. 地震対策
  2. 停電対策
  3. 水害・台風対策
  4. 火災対策

以下で詳しく説明していきます。

また、身体状況や利用状況によっては音声ガイドがついているかなど、非常時の状況・情報の把握が可能かどうかも事前に確認しておくと安心です。

1. ホームエレベーターの地震対策

1. ホームエレベーターの地震対策

地震の際にホームエレベーターに乗っていると、

ホームエレベーターのかごが急停止して閉じ込められてしまうリスクがあります。それを回避するために、エレベーターに備えておきたい機能は以下の5つになります。

  • 耐震構造
  • 地震感知センサー
  • 非常用バッテリー・自動着床機能・停電灯
  • 手動でのドア開放機能
  • インターホン・非常用ボタン

地震感知センサーとは、ホームエレベーターの走行中に自身の初期微動(P波)を感知すると、進行方向のお寄り会に停止し、自動でドアを開く機能です。その後に一定以上大きな地震の主要動(S波)があるとそのまま休止状態になります。P波の後のS波が規定以下の場合は、一定時間後にエレベーターが動くようになります。

自動着床機能とは、いわゆる非常用バッテリーの機能の1つにあたるもので、停電が発生するとバッテリーの電力を使い、最寄りの階に自動で移動し、ドアを開ける機能です。

2. ホームエレベーターの停電対策

2. ホームエレベーターの停電対策

ホームエレベーターは電力で動作しているため、停電時には使用できなくなってしまいます。それを回避するために、対策としてエレベーターに備えておきたい機能は以下の3つになります。

  • 非常用バッテリー・自動着床機能・停電灯
  • 手動でのドア開放機能
  • インターホン・非常用ボタン

非常用バッテリーには上記で記述した自動着床機能が標準搭載されていて、停電が発生するとバッテリーの電力を使い、最寄りの階に自動で移動してドアを開いてくれます。

非常用バッテリーだけの状態で何分くらい動作するかはモデルやオプションによって違うため事前に確認しておくと安心です。

また、インターホン・非常用ボタンなど災害などの非常時に外へ通報するシステムは、操作方法を確認しておきましょう。

無料相談はこちら

3. ホームエレベーターの水害・台風対策

3. ホームエレベーターの水害・台風対策

ホームエレベーターは、浸水すると故障する可能性があります。また、台風の際は電線の断線などで停電の可能性があります。それを回避するために、対策としてエレベーターに備えておきたい機能は以下になります。

  • 冠水センサー
  • 手動でのドア開放機能
  • インターホン・非常用ボタン

冠水センサーとは、エレベーターピット内への浸水を感知すると、乗客を最下階以外へ自動で運転し、休止状態になる機能です。

最下階以外のどこに停止するかを、事前に確認しておくと安心です。

4. ホームエレベーターの火災対策

4. ホームエレベーターの火災対策

住宅にはどうしても火災のリスクが伴います。ホームエレベーターを検討するときに火災に対して備えておきたい機能は以下の通りになります。

  • 煙感知器
  • 火災時管制運転装置
  • 遮煙乗り場ドア
  • 手動でのドア開放機能
  • インターホン・非常用ボタン

火災時管制運転装置とは、火災発生時に自動火災報知機設備(煙感知器など)が作動した場合、避難階に呼び戻す機能です。エレベーターシャフト(エレベーターの昇降機や昇降機が上下方向に動く空間)には必ず、煙感知器などの自動火災報知機設備が設置されています。

遮煙乗り場ドアとは、エレベーター乗り場ドアと乗り場枠・敷居との隙間を機密罪で密閉することで、エレベーター乗り場ドアそのものに遮煙性能を持たせたものです。

5. お住まいの地域や利用状況によって優先する機能が異なる

5. お住まいの地域や利用状況によって優先する機能が異なる

ホームエレベーターの安全機能は、非常用バッテリーや自動着床機能、自動火災報知機設備など標準搭載されている機能も多いです。

それ以外のオプションを選択するときは、台風や河川の氾濫が多い地域、住宅が密集していて火災に注意したい地域など、お住まいになっている地域によって、優先したい機能が異なります。

また、身体状況や利用状況によっても非常時に必要な機能が変わります。

例えば、非常時に階段を使用して移動することが難しい場合、非常用バッテリーがどれくらいの間稼働してくれるかが重要になります。
視覚での情報・状況の把握が難しい場合は、音声ガイドを搭載し、非常用ボタンやインターホンの位置もあらかじめ確認しておくといいでしょう。

お住まいの地域の災害情報や、ご利用者様の身体状況・利用状況を確認して、優先する機能を選ぶことが重要です。

参考:ホームエレベーター各メーカーの安全機能

各メーカーの安全機能一覧がまとめられたページを紹介いたします。

パナソニックの“こだわり” | ホームエレベーター | 住まいの設備と建材 | Panasonic
日常のアクシデント、そして停電や地震。エレベーターにつきまとうさまざまなリスクを回避し、ご利用者を守る工夫を随所に凝らしました。
家庭・住宅用エレベーター|安全機能|三菱日立ホームエレベーター
三菱日立ホームエレベーターの万が一の時にも安全で安心してご利用頂ける充実の機能を紹介しています。

無料相談はこちら

非常時に備えてできるホームエレベーターの事前対策

非常時に備えてできるホームエレベーターの事前対策

前述までは、ホームエレベーターに搭載されている安全機能を紹介しました。ここからは、ホームエレベーターの機能以外に事前に備えておきたいことを紹介していきます。

具体的にやっておきたいことは以下の2つです。

  • 定期的な点検・メンテンナス
  • 家族全員で非常時の対応マニュアルを確認する。

以下詳しく説明していきます。

ホームエレベーターの定期的な点検・メンテナンス

ホームエレベーターの定期的な点検・メンテナンス

建築基準法第8条には「建築設備を常時適法な状態に維持するように努めなければならない。」とされています(建築基準法 e-GOV法令検索)。これはホームエレベーターにも適用されますが、多くのホームエレベーターはこの定期検査報告の報告義務を免除されています。

ホームエレベーターは、マンションやビルのエレベーターとは異なり、使用頻度が低い現状もありメンテンナスの必要性があまり意識されていないのが現状です。

しかし、ホームエレベーターは機械のため、故障や不具合が発生する可能性は否定できません。

メーカーの多くは、ご利用頻度に合わせて、年1回または年2回の定期点検を推奨しています。非常用バッテリーなど、万が一の時に動かないということがないように、定期的に確認することをおすすめします。

メンテナンス契約は、業者やホームエレベーターの機種や仕様にもよりますが、年間約5〜8万円ほどかかります。
メンテナンス契約は契約内容にどこまで含まれるかを必ず確認してください。作業代や、部品・消耗品交換代、故障時の緊急出動が含まれるかなどは業者によって様々です。

メンテンナンス契約・保守契約については以下のリンクが詳しく説明しているので併せてご覧ください。

「POG契約」と「フルメンテナンス(FM)契約」の違いとは?エレベーター等の昇降機の保守点検 - well99株式会社
エレベーターやエスカレーター、小荷物専用昇降機(ダムウェーター)、段差解消機、いす式階段昇降機などの昇降機の保

家族全員で非常時の対応マニュアルを確認する。

家族全員で非常時の対応マニュアルを確認する。

ホームエレベーターを設置した場合は、非常時に慌てないために、一度家族全員で非常時の対応マニュアルを読み合わせしておくことをおすすめしています。

例えば、地震・停電・浸水・火災などそれぞれの状況に応じて自動停止する階が異なります。非常用バッテリーに切り替わった時に、何分間動くかも事前に確認しておくと安心です。

また、手動でのドア開放機能や非常ボタン、非常用インターホンなどは、家族や管理者が対応できるように事前に操作方法を確認しておくことが重要です。場合によってはホームエレベーターのかご内に操作方法のマニュアルを置いておくのも良いでしょう。

無料相談はこちら

まとめ:停電・災害対策を万全にして安全なホームエレベーターを活用しよう!

日常的に使用するホームエレベーターには、安全に使用するための機能がたくさんあります。

特に停電時に活躍する非常用バッテリーは、停電時に急停止してしまう備えや、避難する際の移動に対して重要です。日本は災害が多いため、可能な限り、非常用バッテリーを搭載しているモデルを選ぶと安心でしょう。

また、災害用に備えた機能があっても、「いざ必要になった時に動かない」ということにならないよう、メンテナンスも重要です。費用は掛かりますが、最低でも年に1回程度、メンテナンスをおすすめしています。設置と併せてメンテンナンス業者との契約も視野にいれるとよいかと思います。

メンテンナンスや、家族で非常時の動きを確認するなど、定期的な備えをして安心してエレベーターライフを送ってください。