ご自身や家族が高齢になるにつれて、階段の上り下りの時に転倒・転落の心配するようになった方は多いと思います。
階段の段差による事故防止の方法を相談したことのある方は、いす式階段昇降機やホームエレベーターを勧められることがあるのではないでしょうか。
今回は階段を安全に昇降するための福祉機器「いす式階段昇降機」の価格と選び方、費用を抑える方法や、中古品やレンタルのメリット・デメリットを紹介いたします。
はじめに:自宅用いす式階段昇降機が注目される理由
高齢化社会と言われる現代、高齢者の要介護者等級は急速に増加しています。特に75歳以上に多く、平成21年度に「要介護者または要支援者」と認定された方は全国で484.6万人となっています。
以下で具体的な説明をしますが、現状、介護をする方は「家族」とりわけ「女性」が多く、「老々介護」も相当数存在し、「自宅で介護されたい方」は全体で約4割になります。
自宅での生活を希望する方が多い一方で、階段の上り下りの介助は慣れていない場合、危険も伴い、介助者によっては体力的な面で厳しい状況があります。
いす式階段昇降機は階段での介助の負担と危険を軽減できる福祉機器として今注目を集めています。
高齢者の姿と取り巻く環境の現状
単位:千人、( )内は% | |||
65~74歳 | 75歳以上 | ||
---|---|---|---|
要支援 | 要介護 | 要支援 | 要介護 |
184 (1.2) |
459 (3.0) |
1,038 (7.5) |
3,015 (21.9) |
資料:厚生労働省「介護保険事業状況報告(年報)」(平成21年度)より算出 |
75歳以上では要介護認定をされた方が全体の21.9%、5人に1人の計算になります。
また、75歳以上の割合は、65~74歳の3.0%から大きく上昇しています。
上の表を見て頂くとわかる通り、主に家族が介護をしており、とりわけ女性が多いことがわかります。今話題になっている「老老介護」も相当数存在することがわかります。
また、「日常生活を送る上で介護が必要になった場合にどこで介護を受けたいか」について、男女共に「自宅で介護してほしい人」が最も多く、男性50.7%、女性35.1%、全体で約4割となっています。
階段の介助は慣れていない場合は危険も伴います。老々介護、女性が男性を介護するケースなど、体力的な面で厳しいことも多いため、階段を安全に昇降することができるいす式階段昇降機のニーズが高まっています。
階段を安全に昇り降りしたい|いす式階段昇降機とホームエレベーター
階段を安全に上り下りするリフォームを検討するときに、いす式階段昇降機と並ぶものとしてホームエレベーターがあります。
どちらにも長所・短所がありますが、ホームエレベーターを後付けする場合は、設置場所や強度の問題で業者に断られることも。
いす式階段昇降機は階段にレールを敷く形になるため、ホームエレベーターの設置が断られた家でも設置することが可能です。
いす式階段昇降機とホームエレベーターの特徴や比較については下記リンクで説明しています。
いす式階段昇降機の基本知識:種類と機能のポイント解説
いす式階段昇降機の製品はたくさんあります。選ぶときに何をチェックすれば迷いますよね。
ここから先は、いす式階段昇降機の選び方について簡単に説明していきます。
利用者の身体状況にあわせてもっと詳しく知りたいよ、という方は下記のリンクからご覧ください。いす式階段昇降機を設置後に後悔しないために、お客様の身体状況や環境にあわせたおすすめの機能を紹介しています。
直線階段と曲線階段、屋内外向けモデルの違い
まずチェックするべきポイントは、「そもそも設置できる機種か」という点です。
いす式階段昇降機を設置したい場所が「屋内か屋外」「階段の形状が直線か曲線か」で設置できる機種が変わります。いす式階段昇降機の製品のタイプは全部で4種類です。
- 屋内直線型
- 屋内曲線型
- 屋外直線型
- 屋外曲線型
屋内・屋外はそのままの意味ですが、直線型・曲線型には注意が必要です。
いす式階段昇降機の「直線型・曲線型」はいすを昇降するためのレール形状の違いになります。階段自体はまっすぐでも、階段途中に踊り場がある場合は曲線型になります。
丸太を階段に乗せるイメージをして入口から出口まで渡せた場合は直線型いす式階段昇降機の設置が可能です。
設置場所と階段の形状をみて、どの製品のいす式階段昇降機が設置可能か知りたい方は以下のリンクをご覧ください。
4つのうちのどのタイプに当てはまるかメーカーと製品ごとに分類して紹介しています。
いす式階段昇降機の安全機能と操作性のチェックポイント
介護のために設置する機械なので、安全性は特に気になるかと思います。結論から言えば、どのメーカー、どの機種を選んでも、危険がある場合はすぐ安全装置が作動するので、安全性に関する明確な違いはありません。
では何を基準にして選ぶのか?というと、操作性、あるいは利用者の身体状況にあっているかになります。具体的なポイントは以下になります。
- 介助者がいるか、いないか
- 身体の動かしやすい方向から乗り降りできるか(右・左半身がうごかしにくい場合)
- 安定して座る姿勢を保てるか(座っている間頭がグラグラ動いてしまう、身体が左右前後に揺れる、足元がずれる、など)
- いす式階段昇降機を無理なく操作できそうか(手元に力が入りづらい、スイッチを押す、レバーを倒すなど)
- 車いすに乗っている場合、車いすの座高に近い高さにいすがあるか 他、
それぞれの身体状況にあわせて、機種やオプションがかわります。
どの機種にどんな機能・オプションがあるかは下記のリンクが詳しく紹介しています。身体機能別におすすめ機能が知りたい方は下記リンクからご覧ください。
自宅用いす式階段昇降機の価格相場と費用内訳
いす式階段昇降機の設置費用や維持費用がどれだけ必要かは、今後の介護計画にも関わってきます。費用面は特に気になりますよね。
ここからは、いす式階段昇降機に関わる費用の面について、簡単に説明していきます。
実例も合わせて詳しく知りたい方は下記リンクで実例を合わせて説明していますのでそちらをご覧ください。
いす式階段昇降機の本体費用、設置工事費
まず気になるのは設置費用かと思います。必要になるものは、いす式階段昇降機本体の値段+工事代+送料です。まず、目安として本体+設置費用は以下の通りです。
— | 屋内 | 屋外 |
直線 | 60~80万円 | 90~110万円 |
曲線 | 150~180万円 | 170~210万円 |
※階段のレイアウトにより多少の前後あり
上記価格に+送料(7~10万円ほど)をみておくと安心です。階段の形状によって、金額がかなり変わるため、実際にかかる金額が知りたい方は一度工務店に現場調査依頼して見積をとることをおすすめします。
いす式階段昇降機のランニングコスト
いす式階段昇降機の維持費用(ランニングコスト)は大きく分けて2つになります。
- 電気代
- メンテナンス費用
どの頻度でどれくらい必要かは、以下で詳しく説明していきます。
いす式階段昇降機の電気代
1階から2階までのレールレイアウトで、1日5往復くらい使用した場合の電気代は1ヶ月で100円以下です。コンセントを差して使うので、近くに100Vのコンセントが一口あれば作動します。
いす式階段昇降機のメンテナンス費用
設置場所や利用頻度など条件により様々ですが、いす式階段昇降機のメンテナンス契約は以下が相場になります。
2~3万円(+設置場所が屋外の場合5000円)(+部品代※契約内容による)(+定期検査報告3~5万円)
ただし、機械の形状によったり、設置環境(海岸沿いの塩害がある場合など)・想定される利用頻度・1階~3階・4階の場合等でなどで変動するため、いす型階段昇降機を設置する前などあらかじめ業者に聞いておくのが安心です。
価格を抑えるためのポイント:補助金制度、中古・レンタルの活用法
いす式階段昇降機は介護保険の住宅改修の対象外のため、ホームエレベーターほどではありませんが、手すり等と比べて高額になります。できるだけ価格を抑えたいと考える方は多いのではないでしょうか?
いす式階段昇降機の場合、費用を抑える手段は以下の2つがあります。
- 各市町村の補助金・助成金を申請する
- 中古品やレンタルサービスを利用する
以下でそれぞれ詳しく説明します。
1. 最新の補助金制度を利用する
いす式階段昇降機の設置は、各自治体で独自に行っている補助金・助成金を利用できる場合があります。詳しくは各自治体の窓口にて相談してください。
横浜市で利用できる補助金・助成金は下記リンクをご覧ください。
2. 中古品やレンタルサービスを利用する
いす式階段昇降機の費用を抑える方法の2つ目は、中古品やレンタルサービスを利用することです。
それぞれメリット・デメリットがありますが、いす式階段昇降機は利用者や設置場所にあわせてオーダーメイドに近いカスタマイズをされている製品です。中古品・レンタル品ともに、ご自身にあう製品があるかどうかはタイミング次第となります。
いす式階段昇降機の中古品を利用するメリット
いす式階段昇降機を中古で購入する場合のメリットは以下になります。
- 費用が抑えられる
中古品を利用する場合のメリットはなんといっても費用を抑えられることです。
いす式階段昇降機は、新品で数十万~数百万円ほど。耐用年数は10年ほどと言われています。簡単に買い換えられるものではないため、中古品で安く設置したいニーズに対応できます。
いす式階段昇降機の中古品を利用するデメリット
いす式階段昇降機を中古で購入する場合のデメリットは以下の3つになります。
- 入庫・在庫が一定数ない、あるいは希望の商品がない場合がある
- ご自宅の階段で使えるか、自力での確認が難しい場合がある
- 設置する業者を探すのが大変
中古品のデメリット1 入庫・在庫が一定数ない
どの製品にも言えることですが、中古品は一期一会ですので、タイミング次第では希望の製品がない場合があります。
中古品のデメリット2 ご自身の階段で使えるか、自力での確認が難しい
いす式階段昇降機は、階段に合わせてオーダーメイドに近いカスタマイズを必要とされている場合がほとんどです。以前設置されていた階段と全く同じ形状の階段でない限り、レールの中古部品は使用が難しい面があります。
一般の方がオークションやフリマサイト等で購入し、いす式階段昇降機のレールだけメーカー等から購入するのは難しいため、オークションやフリマサイトで購入しても結局設置できないということがあるのであまりおすすめできません。
また、いす式階段昇降機は使用する人によって必要な機能が変わる場合があります。中古品は一期一会ですので、ご自身にあったものを探すのは困難です。
耐用年数の問題もあります。いす式階段昇降機の耐用年数は約10年です。長期間使用する想定の場合は、買い替えや部品の交換などにより、新品の方が結果的に安い場合があります。
中古で購入したい場合は、購入前に現場調査と製品の調整をしてくれる、いす式階段昇降機を中古専門で扱っている業者にお願いした方が無難でしょう。
中古品のデメリット3 設置する業者を探すのが大変
中古で購入すると購入に係る費用は安くなりますが、設置費用やメンテナンス費用までは安くなりません。
いす式階段昇降機は購入(あるいはレンタル)した業者に設置をお願いする場合が多いため、いす式階段昇降機の設置だけをしてくれる業者を探すのは困難な場合があります。
また、同じくメンテナンス費用も、購入(あるいはレンタル)した業者にお願いすることが多いので、メンテナンスをしてくれる業者を探すのも大変です。
デメリットの2つ目で説明したように、中古で購入したい場合は、購入前に現場調査をしてくれる、中古専門で扱っている業者にお願いした方が無難と考えたほうがいいでしょう。
いす式階段昇降機のレンタルサービスを利用するメリット
いす式階段昇降機をレンタルで利用する場合のメリットは以下の3つになります。
- 費用を抑えられる
- 定期点検もセットで受けられる
- 必要なときだけ借りられる
以下で詳しく説明します。
レンタルのメリット1 費用を抑えられる
いす式階段昇降機のレンタルサービスを利用する場合、費用の内訳は初期費用(工事費、多くの場合レンタル終了時の撤去費用も含む)、と月額のレンタル料です。
いす式階段昇降機の直線型をレンタルする場合、初期費用(設置費用等)が15万円程度、月額レンタル料は1万数千円程度が相場です。ただし、長期でレンタルすると最終的に費用が高くなります。
利用者に合ういす式階段昇降機を見つけられた場合は、トータルコストで考えると、レンタルの方が費用が安く済むケースが多いです。
メリット2 無料でメンテナンスが受けられる
レンタルの場合、メンテナンス費用が月額料金に含まれているケースが多く、故障対応も受けてくれるため、安心して利用できます。
メリット3 は必要なときだけ借りられる
利用者にあったいす式階段昇降機がレンタルにあり、利用期間が短い場合、あるいは利用期間がある程度想定できる場合などは、レンタルの方が便利です。
購入した場合、いす式階段昇降機が必要なくなって撤去したい場合は自分で撤去を手配する必要がありますが、レンタルの場合は、いす式階段昇降機が不要になった場合、レンタル会社に連絡すれば撤去してもらえます。
いす式階段昇降機のレンタルサービスを利用するデメリット
いす機階段昇降機をレンタルで利用する場合のデメリットは以下の3つになります。
- 特殊な階段だと利用できないことがある
- 利用期間をあらかじめ決める必要がある
- 助成金の対象にならない
以下で詳しく説明していきます。
デメリット1 特殊な階段だと利用できないことがある
いす式階段昇降機は階段にあわせたオーダーメイド品が多いのが現状です。そのため、いす式階段昇降機のレンタルは直線型が多く、L字型やU字型の曲線階段や、踊り場がある階段は利用できない可能性があります。
デメリット2 利用期間をあらかじめ決める必要がある
必要な時だけ借りられるのはレンタルのメリットですが、その反面、契約期間を決める必要があります。月額でレンタル費用がかかるため、長期間利用する場合は費用が高くなってしまうことも。あらかじめ、何年利用するかの想定をしておく方が無難です。
レンタルの基本契約期間は3年間が一般的です。3年未満で解約する場合は早期解約金が発生します。
デメリット3 助成金の対象にならない場合が多い
各自治体が実施している補助金・助成金は購入を前提としていることが多く、レンタルでは補助金・助成金の対象にならないことがほとんどです。
補助金・助成金の利用を考えている場合は購入という形になります。
自宅用いす式階段昇降機選びで安心・快適な暮らしを実現しよう
利用者の身体状況にあわせて、いす式階段昇降機を選ぶことで、自宅での生活が安全で快適に過ごせるようになります。
1階が駐車スペースや店舗になっていて2階が生活スペースのメインになっている、リビングと自室の階が分かれている、など階段の上り下りが必須のご家庭はぜひいす式階段昇降機をご検討ください。