今のままでは、家に入れない…
リハビリからご自宅に戻る際に、現状のお住まいのままでは生活が難しいと感じた方が、今回のお客様です。
ご利用者様は車いすでの生活が始まり、寝室を1階に移すことを決断しました。
行動範囲に合わせ、住まいの1階を車いす利用を前提にしたバリアフリー仕様に改修しました。
まずは、既存の玄関はそのまま残し、裏手にあるウッドデッキを経由して掃き出し窓から家の出入りをする計画を立て、1階の畳の部屋は車いすで移動しやすいようにフローリングに変更しています。
「家に入れるようにする」だけはなく、「家に入ってからどう暮らすか」が大切です。
ご利用者様とスタッフが繰り返し相談を重ね、毎日の生活動線を一から見直しました。
その結果、無理なく続けられる暮らしの形が見えてきたのです。
場所 | 神奈川県横浜市 |
建物データ | 戸建て、リフォーム |
既存の玄関はそのままに、車いすで出入りしやすい第2の玄関をつくる
門扉から玄関までには4段の階段が玄関へと続き、ドアを開けて入ると玄関の上がり框が立ちはだかります。
こうした段差は車いすでの移動を妨げてしまい、家の出入りが不可能な状況でした。
玄関までの高さと距離を考慮するとスロープでの対応は現実的でなく、段差解消機の設置を設置する場合も内と外両方に必要になるため、玄関前の工事は大がかりになってしまいます。
そこで、車いす利用を前提にした第2の玄関を作る発想に切り替えました。
幸い、裏手の掃き出し窓とウッドデッキはほぼ段差がなく、出入り口として活用しやすい条件が整っていました。
この掃き出し窓を第2の玄関と位置づけ、家の出入りの動線を再設計することにしました。
ただし、ウッドデッキにはそれなりの高さがあり、敷地の奥行きと考えるとスロープでの対応が難しい状況でした。
そこで、ウッドデッキの高さを乗り越えるための段差解消機を設置することで、無理なく上下を可能にしました。
さらに、歩道から無理のない動きで段差解消機までたどり着けるよう、フェンスの一部を撤去し新しく門扉を作成。
門扉と段差解消機をつなぐ道を舗装しました。
門扉は横にスライドする広めのタイプを採用しており、どの方向からでも車いすで出入りしやすく設計しています。
寝室として使う和室を洋室に変更する
1階に移す予定の寝室は、もともと畳敷きの和室でした。
しかし畳は段差や沈み込みがあり、車いすでの移動には不便が多く、畳の傷みも早くなってしまうという課題がありました。
そこで、掘りごたつだった場所をふさぎ、床をフローリングに変更しました。
車いすでもスムーズに移動でき、ベッドや寡婦の配置もしやすい洋室に仕上がりました。
洗面台は足元が当たらないものを選定
いすに座る姿勢は、手より足の方が前に出るため、車いすで設備に近づこうとすると、足元が当たってしまうのが大きな悩みです。
特に洗面台は、顔を洗う・歯を磨くなど正面から近づいて使う必要があるため、車いす使用者にとって不便を感じやすい場所になります。
そこで既存の洗面台を撤去し、足元がオープンで、洗面ボウルの高さがいすに座った姿勢に合わせて設計された車いす用洗面台へ交換しました。
これにより、車いすのまま正面からスムーズに近づけるようになり、日々の動作が安心して行えるようになりました。
ご利用ありがとうございました!
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